
先日、相談をしようかどうか検討されている方からお電話をいただき、
次のような問い合わせを受けました。
「購入を反対してほしくない。購入が厳しいのはわかっているので、
どうしたら買えるかをアドバイスしてほしいが、そういった相談は可能か?」
言い回しは正確ではないかもしれませんが、概ねこのような主旨の問い合わせでした。
「もちろん可能ですよ。」とお答えして電話を切ったものの、
それ以後、その方より正式な相談依頼はいただいておりません。
一方、相談にいらした方が時折このような事をおっしゃいます。
「今日は西澤さんに怒られに来ました。」とか、
「西澤さんの辛口のご意見がうかがいたくて相談に来ました。」とか。
確かに私は元々、歯に衣着せぬ物言いをする性質ですし、
そもそも販売の現場で、購入のメリットなどの良い情報しか得ていない検討者に、
気づかぬデメリットやリスクをお知らせすることこそが私の役目であり、
それが購入者の支援につながると考えておりますが、
冒頭のお問い合わせや、相談に来られる方のこうした言葉には、
やや複雑な思いがします。
私は住宅購入を支援するFPでありたいと思っています。
その目的のために、手段として物件を厳しく評価したり、
時には購入の中止を勧めたりもします。
そしてその際には、その理由をお知らせし、
それでも購入したいというご希望がある場合には、
その方法とリスクへの備えをアドバイスしたいと努めております。
どんなに購入に賛成できないと思われる場合でも必ず、です。
相談をすべきか迷っている方は、
少なからず住宅購入に悩みや不安を抱えているのだと思います。
それなら、相談に行ったら購入を反対され、
自分たちにとって耳の痛い話ばかりを聞かされると心配なさらず、
まずはお気軽にその悩みや不安をお聞かせいただきたいと思います。
「反対しないでください。」という方にも、
「反対意見を聞きたい。」という方にも、また「怒られに来ました。」という方でも、
どなたであっても私は、良いことも、悪いことも全てお話するつもりです。
それでも物件のデメリットや将来に起こりうるリスクなどの悪いことを、
どうしても言ってほしくないなら、そのご期待にも沿いたいと思います。
私は皆さんの住宅購入を支援するFPなのですから。
皆様のご相談、お待ちしております。
先日、ある物件の購入に迷い相談に来られた方に、
どうしてこの物件を購入しようと思ったのか理由を尋ねましたところ、
「何かを気に入って選んだというより、消去法でこの物件になったという感じです。」
と回答なさいました。
これまで千件を超える住宅購入検討者とお話してまいりましたが、
物件を選んだ理由に「消去法で」と答える方は
かつて一人もいらっしゃいませんでしたので、正直私はかなりの衝撃を受けました。
首都圏の住宅価格はデフレ下にあっても依然として高く、
一般的なサラリーマンの収入ではなかなか希望通りの物件は買うことができません。
そのため、ほとんどの方が何かしらの条件を妥協することになるわけですが、
それでも例えば日当たりとか広さとか、駅からの距離だとか、
人それぞれ住宅に求める希望やこだわりがあるはずです。
特に気に入った部分がないにもかかわらず、
それでも数千万円もする住宅をなぜ今買わなくてはならないのか、
いくらお話をうかがっても釈然としませんでした。
もちろん、その理由がわからなければ解決しないことではありません。
そこでまずは「なぜ住宅を買うのか」と「なぜ今なのか」を
もう一度考えてみるよう案内し、
また物件の良い点、逆に懸念される点、そしてローンの組み方等のアドバイスをして
相談を終えました。
後日、その方よりメールをいただき、「再度考えたがやはり今買いたい」
そして「選んだ物件がこれまで検討した物件の中では総合的に最もよい」
とのことでした。
そこで気づいたのです。
この方にとって物件選びの優先順位の1位は「今買う」ことなのではないかと。
そして2位が「希望するエリア、沿線」。
だから日当たりとか広さとか間取りとかいう物件の条件は、二の次、三の次なのだと。
その後、売買契約を無事終えたとの連絡をいただき、
とりあえず私の心のつかえはとれました。
真意はいまだ定かではありませんが、
要は相談に来られた方が納得し、安心して物件を購入できればそれでよいのですから
これ以上追求するつもりはありません。
それにしても住宅購入のモチベーションって深いな~とつくづく思います。
しかも実に興味深い・・・。
そしてこれからも住宅購入検討者の複雑なモチベーションと悩みや不安と向き合い、
より安心、納得、しかも満足できる住宅購入を支援していきたいと
改めて決意したのでした。
先日、ある偉大なる先輩FPとお話する機会があり、
そこでギョッとすることを問われました。
「『私は“中立”的立場で顧客の相談に応じます。』
というFPをどう思いますか?」と。
一瞬、「FPはそうあるべき・・・」と思い、次の瞬間、「ん?」と疑問が・・・。
そしてよく考えてみると「それではいけない!」と気づきました。
そう、顧客満足度の高いFPは“中立”ではなく、
完全にお客様の立場に立っているのだと。
その直後、「中立な立場」とか「中立な第三者」とか、その耳障りのよい言葉を
よく考えもせず使っていた自分をとても恥ずかしく思いました。
そして改めて考えてみると、自分は少しも“中立”ではなく、
常に相談に来られたお客様の立場でアドバイスしていると確信もしました。
さらに“第三者”という言葉も、
よく考えてみると実態とかけ離れて使っていたことに気づきます。
よく相談に来られる方からも
「第三者の意見が聞きたい」と期待されることがあるのですが、
私は正確には第三者というより、“第1.5者”なのだと思っています。
例えばマンションの売り手と買い手がおり、
通常、買い手の方が私のところへ相談に来られるわけですが、
私が売り手と買い手の中間に立っているかというとそうではなく、
また、はたで見ている傍観者かというとそうでもありません。
いつも買い手の身になって、この購入が満足度の高いものなのか、
また安心、納得できるものなのかについてアドバイスしているつもりですから、
買い手側に近い存在だということで、それを言葉にするなら“第1.5者”なのです。
これはつまり「顧客の利益を追求する」ということなのですが、
ただ、もし売り手側が、私に相談に来られても、
私はきっと買い手の立場で物申すことになると思いますので、
常に顧客の利益を追求することが求められる弁護士とはこの点で決定的に異なり、
私は常に買い手の立場に立っているのだということにも改めて気づきました。
私は「中立な第三者」の立場で皆さんの相談に対応するわけではありません。
住宅購入をなさる方の立場に立って、場合によっては購入検討者の“代理”となって
安心、納得の住宅をサポートしたいと思っております。
その証として、
なるべく「私があなたなら、○○します。」という見解を伝えるようにしております。
よって皆さんも「中立な第三者」の言葉の意味をもう一度よく考えてみてください。
それは、場合によっては売り手側の立場も考慮するということであり、
売り手側のメリットが大きいなら買い手に不利益を強いることもあるということです。
「中立な第三者」。いかにも買い手のメリットになりそうな立場に聞こえますが、
そうとは限らないことを肝に銘じて相談相手をよく吟味しましょう。
Life & Home Solusion 代表 西澤 京子