
最近、住宅ローンの借り換えの相談が増えてきました。
「住宅ローンの借り換え」とは、借入当初の高い固定金利を低金利に借り換えるのが主流です。
しかし、ここ十数年も低金利時代が続き、いまだ金利上昇の気配があまり感じられませんので、
高い固定金利で借入れた方はもうとっくに借り換えをしているはずですし、
また近年、変動金利や短期固定金利指定型の住宅ローンを借りている方についても
まだ慌てて固定金利に借り換える必要性を感じていないようです。
そのため、「あまり借り換えのニーズはないのでは?」と思っていたのですが、
ただ、ちょうど10年前、住宅金融公庫融資の基準金利は史上最低の2%であり、
段階金利制度であったこの融資の11年目以降の金利は4%に設定されておりましたので、
ここへきて返済額が大幅アップになった方が出始めてきております。
この融資を受けた方は、例えば3,000万円を35年返済で借り入れた場合、
当初10年は月々の返済額が99,378円と、10万円を切っていますが、
11年目以降は123,759円となります。
しかも新築マンションに居住してから10年経つと、修繕積立金は当初より上がっていたり、
また固定資産税も当初の軽減措置を終え、借入当初よりは金額が上がりますので、
これに加えてローンの支払いまでもが2万円以上も上がってしまうのはかなりの痛手です。
さらに残念ながらこの10年、賃金はあまり上がっていない方がほとんどですので、
急に家計が苦しくなる方も多く出てくることと思います。
そもそも住宅金融公庫融資の基準金利が2%であった時期はとても短かったのですが、
この融資は申込時の金利が適用となっておりましたので、
この最低金利で申し込んだ方の融資実行時期は様々であり、
よって11年目以降の4%が適用となる時期も購入した物件により、早ければ昨年の年末頃より始まり、
長ければ2年後程度までに渡ります。
もちろん、その前後する時期に公庫融資を申し込んだ人についても同様のことが起こっていますので、
今後ますます借り換え検討者は増えていくものと思われます。
しかし、借り換えには諸費用がかかりますので、
単純に金利差があれば全て有利というものではありません。
概ね以下の3つの条件を充たしていれば借り換えすることによって
有利となる可能性が大と言われております。
1.金利差1%以上
2.借入残存期間10年以上
3.ローン残高500万円以上
ただ、この要件を充たしていても、すぐに借り換えができるとは限りません。
概ね以下の要件を充たす必要があります。
1.物件の担保価値が残債以上となっていること
2.借り換え時の収入や勤務先等の条件が借り換え後のローン審査上、問題がないこと
3.借入名義人に変更がないこと
最近ではさまざまなローンがありますので、
1については多少残債割れしている物件でも借り換えが可能な場合があります。
また2についても、よほどの収入減でも無い限り大丈夫でしょう。
しかし最近、3が大きな障害となる場合が増えているようです。
よって、次回はこの3について取り上げます。
前回のブログで述べましたように「住宅ローンの借り換え」を検討する方は
今後徐々に増えてくるものと思われますが、
実は私のところに借り換えの相談にこられる方の多くは、借入名義人の変更を希望しています。
そして、ご相談者が思っている以上に、これは実に難しい案件となります。
それは例えば以下のようなケースです。
①住宅ローンを借りた当初は夫婦の収入合算(連帯債務)で組んでいたが、
その後奥様が仕事を辞めたので、ご主人のみの借入にしたい。
(かつて住宅金融公庫融資を利用していた方に多い)
②借入当初、奥様が正社員で勤続年数が長いなどの理由で、
住宅ローンを借り入れるうえで条件的に有利だったため、
奥様を主たる債務者としたが、その後奥様が派遣社員等、非正規労働者になったため
ご主人を債務者とするローンに借り換えたい。
③離婚によりご主人名義の融資を奥様名義に、もしくは逆に奥様名義からご主人名義に変えたい。
この例を見て、皆さんはどのように思いますか?充分身近でありうるケースだとは思いませんか?
そして比較的簡単に引き受けてもらえそうに思うのではないでしょうか?
しかし、借入名義人の変更は決して簡単ではありません。
よって、私に相談に来られる方もこのようなケースが多いのです。
上記の①~③の例にあげたような場合で、例えば奥様が借入名義からはずれる場合、
これまで奥様が持っていた物件の所有権の一部ないし全部をご主人が取得することになります。
それを“贈与”するにしても“売買”するにしても、
その取引に通常は不動産業者等第三者が介入しませんので、
適正な価格査定がなされるとは限らないため、担保価値がどの程度あり、
その価値に見合った融資が行なえるかが客観的に明確にならないため、
金融機関は融資をしぶってしまいがちです。
仮に親族間で“売買”し、そこに不動産業者を仲介に入れたとしても同様です。
さらに詳しい説明はこの場では割愛しますが、
夫婦共同で住宅ローンを組む場合は、万が一離婚したり、夫婦のどちらか一方の収入が減ったり、
安定しなくなった時のことまで想定して、名義をどうするのか考える必要があると思います。
また共稼ぎながらも、ご夫婦のどちらか一方がローンの名義人となる場合には、
もし仮に離婚することになった時、
その住宅に住む可能性が高い方が住宅ローンの名義人になっておいた方がよいと思うのです。
夫婦が住宅を購入する際に、離婚した場合を考えるケースはまれですし、
また「離婚を想定してローンを組みなさい」ということには極めて違和感を覚えることとは存じますが、
自分が亡くなることを想定して生命保険に加入するように、
考えにくくとも離婚や失業などの場合も想定し、
どうしたら最もリスクの少ない住宅ローンの利用ができるのかについて
考える必要はあるのではないかと思います。
物件ありきで、その購入のために安易に収入合算などせずに、
また、住宅ローン減税を夫婦双方で受けると言う理由だけでペアローンを組む前に、
まずは夫婦それぞれの将来のキャリアプランや想定されるケースを見据え、検討する必要があります。
人生、予想外、想定外なことばかりですから。
しかも女性の非正規労働者率と離婚率が高まっている昨今ですから。
今回のブログのテーマ、実は『完済が65歳を超える借入期間』にしようか、少し迷いました。
しかし、これは今回のテーマとほぼイコールの関係となることが多いため、
前々回のテーマ「変動金利の利用予定者」、前回のテーマ「4,000万円以上の借入」の
両者にも共通することもあり、あえて“繰上返済”にクローズアップしてみたいと思います。
「長い借入期間」・「多額の借入金額」・「変動の可能性の高い低金利ローン」、
多くの人はそのリスクを認識していながらも、気に入った物件を購入するために、
“繰上返済”を切り札としてそのリスクの中へ飛び込んでいます。
もちろん、返済の途中で余裕資金ができたなら、
できるだけ早く“繰上返済”をするに越したことはありません。
しかし、その“繰上返済”の効果に注目しすぎるあまり、
返済開始当初から定期的に貯蓄してまで繰上返済の原資を用意するという人が多くいらっしゃるなど、
少々勘違いも生じているようです。
“繰上返済”とは、「思っていた以上に貯蓄ができた」とか、
「ボーナスがたくさん出た」といったような余裕資金ができた時に、
ある程度まとまった金額をローン返済資金に充てるものであり、
毎月ないしボーナス時に決まった金額を積み立てて行なうものではないと思います。
なぜなら、もしそれができるなら、最初から返済に組み込みんだ方が得だからです。
それを証明する試算を示しましょう。
例えば3,000万円を35年返済、全期間固定の3%で借り入れるとすると、
ボーナス返済無の場合、月々の支払は115,456円、35年間の総返済額は約4,849万円となります。
もし月々の支払を変えずに、ボーナス返済を1回あたり約10万円追加すると
月々の支払が115,351円、ボーナス時加算が100,781円で返済期間は28年返済に短縮できます。
つまり7年の短縮となります。またこの場合の28年間の総返済額は約4,440万円となり、
35年返済に比べて約409万円も利息を軽減できます。
ちなみに、35年返済のボーナス加算無で、ボーナスのたびに10万円ずつ貯蓄し、
5年ごとに約100万円ずつ繰上返済したとすると、35年間の返済期間中、5回繰上返済でき、
その結果短縮された期間は6年と2ヶ月、軽減された利息は約350万円となります。
よって、同じ金額をボーナス返済として組み込む場合とそれを繰上返済に充当した場合とでは、
ボーナス返済として返済に組み込んだ方がお得であるということがわかります。
それなのに、「定年退職までに完済するとなると、月々の支払がかなり苦しいから、
とりあえず35年返済としておいて、後で“繰上返済”して期間短縮しよう」、というように
当面の支払い額を抑えるための“言い訳”として
“繰上返済”に過剰な期待をよせている場合には注意が必要です。
私は、この言い訳が通用するのは、例えば定期預金や保険などの満期が数年後にあるとか、
退職金などのような、ある程度まとまった資金が入る予定がはっきりしている場合だけだと思います。
ただし、退職金は本来、老後の生活資金となるものですので、
その大半をローン完済に充当するのはそれはそれで問題ですが。
まとまった一時的収入の見込みもなく、ただ目先の返済額を安くするだけのために、
また身の丈を超えた借入をするために、“繰上返済”を頼りにしているのは
単にリスクの先延ばしでしかない場合がほとんどです。
月々、もしくはボーナスで無理なく支払える上限額を正確に見極め、60歳完済で組むローンが
あなたにとっての最適な借入金額と借入年数であるはずです。
理屈のうえでは理解していても、どうしても自分に甘くなってしまう方は、ぜひご相談にお越しください。
あけましておめでとうございます。
本年も住宅購入者を支援すべく、精一杯がんばりますので、
どうぞよろしくお願い申しあげます。

さて年初のブログでは久しぶりに住宅ローンについて取り上げたいと思います。
住宅ローンの金利は、ここ1年くらいの顕著な傾向として、
変動金利や短期の固定金利と超長期固定金利の差が大きくなってきました。
特に変動金利は、店頭金利は変わりませんが、各金融機関の優遇が拡充され、
物件によっては最優遇後で1%を切っています。
一方、三井住友銀行を除く都市銀行では30年以上の全期間固定金利は
既に3%台の後半に突入しており、もちろん優遇はありません。
最近では変動金利や3~5年程度の固定金利選択型を利用する人が急増しており、
金融機関によっては住宅ローンを借りる方の9割が変動金利を選択しているとか。
しくみやリスクをきちんと理解して選択するならそれでもよいのですが、
私は日々住宅ローンの相談を受けていて、理解が進んでいるとは到底思えません。
金融機関や住宅の営業担当者にとって、最もメリットのある金利が変動金利であり、
借り手にとって最もリスクのある金利が変動金利であることを
知ってほしいと思います。
そんなことを憂う中、
超長期固定金利を検討してもらえるきっかけとなる朗報があります。
それは「明日の安心と成長のための緊急経済対策」に伴う
『フラット35S』の金利優遇です。
補正予算が成立した場合には、平成22年中の融資実行分まで
『フラット35S』の金利が当初10年間1%優遇されます。
今月の『フラット35』の金利を見ると、
借入期間20年以内の金利は概ね2.6%、21年以上は2.8%前後ですから
当初10年間だけでも1%優遇されれば主な銀行の優遇後の10年固定の金利よりも低く、
3年固定や5年固定の水準です。
よって、返済比率が20%を切るとか、将来大きく収入が上がるとか、
支出が大きく下がるとか、そういう見込みでもない限り、
まずはこの『フラット35S』を検討することをおすすめします。
ただし『フラット35S』を利用するためには、購入する物件が
ある一定の基準を充たした物件でなくてはなりません。
中古物件ではかなり限られることになりますが、
新築物件なら多くの物件で検討できるのではないかと思います。
そもそも今時『フラット35S』はおろか、『フラット35』も使えない新築物件は
あまりよい物件とはいえませんし、売主に誠意がないと私は思います。
できることならそういう物件は選ばない方がよいでしょう。
「これから目線でぜひ『フラット35S』を!」
2月15日の融資実行分より、
ついに『フラット35S』の金利引き下げ幅が拡大することになりました。
先月、このブログでもお伝えいたしましたが、
一定の基準を充たした物件の購入にのみ利用できる『フラット35S』ですが、
当初10年間の金利が1%引き下げられることになったというものです。
保証料や繰上返済手数料が無料であり、
金利は全期間固定であるなどメリットの多い『フラット35』ですが、
デメリットはあえて挙げるなら3つ、
1つは団体信用生命保険の保険料を別途負担しなくてはならないこと、
2つ目は繰上返済が100万円以上でなければできないこと、
そして3つ目が原則、事前審査がないということです。
ただ、このデメリットも絶対的なデメリットではありません。
まず団体信用生命保険については、
『フラット35S』で当初10年間の金利が1%引き下げられるなら、
保険料を加味しても総支払額は他の金融機関の全期間固定金利と比べて
低く抑えられることがほとんどです。
ちなみに団信保険料(特約料)が具体的にいくらかかるかは、
借入額と借入期間、適用金利、3大疾病への対応の有無によって異なりますが、
住宅金融支援機構のホームページ(アドレスは以下のとおり)で
簡単に試算できますので、ぜひ確認してみてください。
http://www.jhf.go.jp/simulation/danshin/index.html
そして2つ目については、繰上返済手数料が無料ですから“よし”としましょう。
さらに3つ目ですが、『フラット35』は他の住宅ローンより借入条件が
多少緩和されていますので、民間の金融機関の事前審査を行なってみれば、
ある程度の目安はつきます。
よって、『フラット35』以外のローンを利用する予定のない方も
どこかの金融機関で事前審査を行なっておくと安心です。
以上のことから、特に21年以上の長期の住宅ローンを組む予定なら
まずは『フラット35S』が使えないか、確認、検討してみましょう。
今年いっぱいの申込分までが適用となる時限的措置ですが、
今年中に申し込めればよい、ということなので、
引渡しが来年でも使える場合があります。
ぜひ、ぜひ、営業担当者に確認してみましょう。
もし「『フラット35』は金利が高いので、誰も使う人はいませんよ。」
などという営業担当者がいたら無視してかまいません。
それはその物件の担当者が『フラット35』をきちんと説明していないか、
使わせないよう誘導しているかのどちらかだということです。
契約を取れば目的が達成される営業担当者や金融機関の言葉に
惑わされてはいけません。
繰り返し述べますが、「これから目線でぜひ『フラット35S』を!」
新築マンションに限らず住宅の売買契約は
具体的な住宅ローンの借り方、返し方を決めなくてもできるものですが、
何千万円もの住宅ローンを利用しての購入なのに、
ローンの条件を曖昧にしたまま契約するなど、
とてもこわいことではないかと、私は常日頃感じています。
しかし、住宅ローンに特化して相談に来られる方の多くは、既に住宅を契約済みで、
不動産会社にいついつまでにどの金融機関のどのローンを利用するのかを
決めてくださいと言われて慌てて相談に来られるというパターンであり、
それゆえ時折、契約を急ぎすぎたと後悔する方も少なくありません。
住宅以外の買物を考えてみてください。
クレジットなどのローンを利用して買う際には、どのローンを利用して、
金利はいくらで、何回払いで、月々やボーナス時の支払いがいくらになって・・・と
普通は条件をきちんと確認するのではないでしょうか?
しかし、なぜ住宅購入の際には、
支払い方法を細かく決めないで契約してしまうのでしょうか?
もちろん契約前に事前審査をして、
どこかの金融機関で希望の借入ができそうだという
メドをつけている場合が多いのですが、
それでも事前審査で承認が得られたという方に、
どういう条件で審査したかを尋ねても
答えられない方が多いのに驚かされます。
そして契約時に、
引渡しの概ね2週間から1ヶ月くらい前までにローンを正式決定すればよいと
スケジュールが提示され、
それなら後でゆっくり検討できると安心しきっているようなのですが、
月々の支払いがいくらなのか、何年返済するのか、など
検討しないまま契約するのは大変危険です。
この流れは売り手にとって都合のよいスケジュールであって、
買い手にとってはリスクなのです。
また、「住宅ローン特約」を過信しすぎており、
買い手が希望するローンが借りられなければ、
どんな場合も契約を白紙解約できると信じているという場合も多々見受けられます。
こういった状況はあまりにも危険過ぎます。
申込前に事前審査を、
そして売買契約時にはローンを決定をすることをおすすめします。
多くの住宅ローンが融資実行時の金利が適用となるため、
ギリギリまで金利を見極めることは必要ですが、
せめて提携ローンを使うのか、非提携ローンなのか、
銀行ローンなのか、フラット35なのか、
変動金利なのか、固定金利なのか、また固定ならどのくらいの期間を固定するのか、
元利均等なのか、元金均等なのか、ボーナス払いは? 借入期間は?
などということぐらいは比較検討をして
ある程度選択肢を絞ってから契約しましょう。
加えて引渡しまで期間がある場合は、
試算時の金利を1%上乗せして計算しておくことも忘れずに。
自分に合った住宅ローンの選び方、借り方、返し方が分からない方は
ぜひ契約前にご相談ください。
もちろん、契約後の方のご相談も承ります。
先日、8月の住宅ローン金利が発表になり、フラット35などの長期金利を中心に
4ヶ月連続で金利が下がりました。
フラット35の今月の金利は最も低いもので借入期間が20年以下なら2.03%、
20年超でも2.35%です。
しかも現在、一定の基準を充たす物件の購入に利用できる『フラット35S』は
当初10年間の金利を1%引き下げられることになっており、
これを利用できれば当初10年間は変動金利とたいして変わらない金利水準で
金利変動のリスクを負わずに安定的に返済することが可能です。
ただこの1%引き下げの『フラット35S』は
当初の予定より3ヶ月早く、9月末に申込が締め切られることになりましたので、
現在購入する物件が決まっており、ローンの申込を予定している方は
お早めに検討、申込されることをおすすめします。
しかし決して慌てず、焦らず、住宅購入そのものの意義や
資金計画を慎重に検討していただきたいと思います。
ここ十数年、低金利状態が続き、
今や住宅ローン金利は1%や2%程度で利用できるのが当たり前で、
頭金がゼロ、もしくは少なくても、家賃並み、もしくは家賃より安い支払い額で
広くて新しい家に住めると、安易に考えがちです。
歴史的にも世界的にも超低金利であることは事実ですが、
それはあくまでも表面的な名目金利であることに注意が必要です。
つまり物の値段とお金の価値との関係に着目すると、
今のローン金利が実質的に低いとは言い切れないのです。
例えば100万円の商品を購入したとして、
その代金は銀行から(名目)金利3%で借り入れ、
さらに1年後の物価上昇率が2%だったとします。
1年後、銀行への返済は103万円となりますが、
商品の価値は物価上昇に伴い102万円になっていますので、
実質的には差し引き1万円(1%)の支払い増となるという考え方です。
つまり、実質金利 = 名目金利 - 物価上昇率 ということです。
そうなると、デフレ下では上の式の物価上昇率がマイナスになるということですから、
実質金利は名目金利より高くなります。
先ほどの例でいうと、銀行から名目金利1%で借りられたとしても
デフレで物価上昇率が-1%だとすれば、返済額が101万円に対し、
商品の価値は99万円になっているわけですから、
実質的には差し引き2万円(2%)を支払うということになります。
よって、住宅ローン金利は表面的には超低金利ですが、
地価も含めて物の値段との兼ね合いで考えると、
現在の金利水準は単純に「超低金利」とは言えません。
ちなみに7月1日、国税庁が発表した今年の1月1日時点の路線価によると、
前年を3.1%下回り、昨年に比べて下落幅は縮小したものの、
3年連続での地価下落となりました。
ただ路線価は1月1日時点の評価ですから、震災の影響は加味されていません。
国税庁は11月までに震災後の地価下落を反映させるための
「調整率」を公表する方針とのことですが、
いずれにしても今後の地価の先行きには暗い影が見えます。
例えば『フラット35S』を利用し、今月3,000万円を借入(融資実行)したとすると、
元利均等35年返済なら超低金利ながらも
総額で約1,100万円の利息を支払うことになります。
その一方で、ローン完済後の不動産の価値はこのまま地価下落が進めば
買った値段の半分とか3分の1とか・・・?
となると1%や2%という表面上の超低金利に惑わされ、
焦って住宅購入するのはどうか・・・と思うのですが、いかがでしょうか?
「住宅ローンを利用する際には数パターンのローンを比較検討しましょう!」と
これまでさまざまな場で何度も述べ、
以前に比べるとそれを実行している検討者が増えているのですが、
それでも変動金利と固定金利の比較やどの金融機関の融資が有利か、
といった検討にとどまり、まだまだ充分とは言えません。
また販売の現場では、相変わらず「元利均等・35年返済・変動金利」という
ワンパターンの提案にとどまる傾向にあり、
他にどういう選択肢があるのかわからないまま購入してしまう方が多いのが実情です。
そこでこれからいくつかの切り口で住宅ローンの試算をしてみますので、
比較検討の参考にしていただければと思います。
第一回目は「返済期間」についてです。
住宅購入検討者の相談をお受けしていると、
よく「早く買わないとローンが長く組めなくなる」、
あるいは「早く買わないと定年退職までにローンが終わらなくなる」
といったことが聞かれます。
それはつまり「35年返済」への誤ったこだわりであり、
中には、住宅ローンは「35年返済」しか選べないと
誤解している方すらいらっしゃいます。
しかし返済期間は1年単位で選択でき、
金融機関によっては1ヶ月や半年単位で設定できますので
返済期間による違いがどれほどのものか試算してみたいと思います。
前提条件:『フラット35S』(10年間0.3%引き下げ)を利用。
金利:返済期間20年以下・・・2.03% 20年超・・・2.35%(引き下げ前金利)
借入額:3,000万円・元利均等返済・毎月払い(ボーナス併用無し)
毎月の返済額
返済期間 当初10年間 11年目以降 総返済額
35年 100,150円 103,629円 43,106,770円
30年 111,637円 114,794円 40,947,063円
25年 127,887円 130,647円 38,863,147円
20年 147,958円 150,139円 35,771,815円
15年 189,345円 190,769円 34,167,639円
いかがでしょうか?
ローンの返済期間が長いことのメリットは毎回の返済額が安くなることのみです。
返済期間が長いほど、利息はもちろん、団信特約料や保証料も高くなり、
また残債は減りにくくなります。
よってローンの返済期間はいたずらに長くしないことが鉄則です。
販売の現場では「ローンは長く組んで繰上返済で期間短縮すればよい」
などと案内しているのですが、
繰上返済のための資金を今後の貯蓄で用意するつもりなら、その分返済額を増やし、
返済期間を短くした方が効果的です。
次回はその繰上返済の効果について試算してみましょう。
住宅ローンをさまざまな切り口で試算し、
比較検討してみようという企画の二回目は「繰上返済」についてです。
住宅ローンを検討中の方々における「繰上返済」の認知度は高く、
繰上返済をする際に必要となる手数料などを比較して
金融機関を選ぶ方も多いようです。
繰上返済分は全額元金に充当されるため、その分利息を軽減できますので、
可能な限り繰上返済をしていきたいものです。
特に元利均等返済の場合、
返済開始当初は毎回の返済額に占める利息の割合が多いため、
繰上返済を行なう時期が早ければ早いほど利息軽減効果が高くなります。
また、繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類あり、
文字通り繰上返済分で、前者は返済額を変えずに返済期間を短縮する方法であり、
後者は返済期間を変えずに毎回の返済額を減らす方法のことで、
繰上返済時に選択が可能です。
(ただし「返済額軽減型」を選択できないローンもあります。)
「期間短縮型」の方が利息軽減効果は高いため、
毎回の返済額がよほどの負担になっている場合を除いて
「期間短縮型」を選択すべきでしょう。
では前回と同じ以下の条件で、
繰上返済の時期を返済開始から3年後と10年後に行なった場合について
「期間短縮型」と「返済額軽減型」の利息軽減効果を比較してみましょう。
前提条件:『フラット35S』(10年間0.3%引き下げ)を利用。
金利: 2.35%(引き下げ前金利) 返済期間:35年
借入額:3,000万円・元利均等返済・毎月払い(ボーナス併用無し)
毎月の返済額:当初10年間:100,150円 11年目以降:103,629円
総返済額:43,106,770円
◎3年後に300万円を繰上返済した場合
返済期間 毎月の返済額 減少する利息額
期間短縮型・・・4年8ヶ月短縮 変わらず 2,883,369円
返済額軽減型・・ 変わらず 10年目まで10,679円軽減 1,201,500円
11年目以降11,050円軽減
◎10年後に300万円を繰上返済した場合
返済期間 毎月の返済額 減少する利息額
期間短縮型・・・4年1ヶ月短縮 変わらず 2,133,095円
返済額軽減型・・ 変わらず 11年目以降13,265円軽減 966,445円
以上の結果から元利均等返済の場合、
繰上返済はできるだけ早く、「期間短縮型」で行いましょう。
『フラット35』は繰上返済できる金額は100万円以上からとなっており、
手数料は無料ですので、3年後や10年後にまとめて300万円の繰上返済をするより、
100万円以上で早めにする方が有利です。
ただし、前回のコラムでも触れたように、
貯蓄して繰上返済するのだとしたら要注意です。
次回はその点について試算してみましょう。
前回のブログで「繰上返済」は早期に行なうほど利息軽減効果が高いことが
おわかりいただけたと思いますが、その効果に期待するがあまり、
「繰上返済」が超長期の借入期間を正当化するネタになっていることや、
「繰上返済」をあてにした資金計画を立てる方が多いことは気になるところです。
販売の現場でもほとんどの営業担当者が借り手の年齢を見て、
最大の返済期間を勧めているようであり、
それに対し不安を感じる借り手に対し、
「繰上返済すれば期間はドンドン縮まりますよ」とアドバイス、
そして繰上返済のための貯蓄まで考える借り手・・・。
しかしそこには大きな落とし穴があるのです。
そこで前回試算した繰上返済の「期間短縮型」の効果を確認してみましょう。
前提条件:『フラット35S』(10年間0.3%引き下げ)を利用。
金利: 2.35%(引き下げ前金利) 返済期間:35年
借入額:3,000万円・元利均等返済・毎月払い(ボーナス併用無し)
毎月の返済額:当初10年間:100,150円 11年目以降:103,629円
総返済額:43,106,770円
◎3年後に300万円を繰上返済した場合
返済期間 減少する利息額
4年8ヶ月短縮 2,883,369円
◎10年後に300万円を繰上返済した場合
返済期間 減少する利息額
4年1ヶ月短縮 2,133,095円
3年後に300万円を繰上返済すると5年弱期間が短縮しますが、
もしこの300万円を3年間で貯蓄するとなると、
現在のような低金利下では月々の積み立て額は8万円超、
10年間で貯めるにしても約2.5万円になります。
仮にボーナスを貯蓄するとしても3年で貯めるには1回につき約50万円、
10年で貯めるには1回につき約15万円が必要です。
それなら初めから返済期間を5年短縮し、
30年としたらどうなるか試算してみましょう。
返済期間以外の前提条件は上記と同じだとすると、毎月の返済額は以下のとおりです。
当初10年間:111,637円 11年目以降:114,794円 総返済額:40,947,063円
つまり月々の返済額を約11,500円増やすだけで
返済期間を5年短縮できるということであり、
繰上返済しなくても総支払い利息を約216万円軽減できるのです。
逆に月々8万円の貯蓄ができるなら、
それを返済に組み込めば(月々の返済額を約18万円にできるなら)
返済期間は約16年半に短縮できるのです。
(その場合の総返済額は約3,552万円です。)
また月々の返済を35年返済時と同等の約10万円にして
ボーナス併用返済にするなら、ボーナス1回あたりの返済額は約7万円となります。
よって「繰上返済」は定期的に貯蓄して行うものではなく、
余剰資金ができた時に行なうものであり、
住宅ローンは「繰上返済」に励むことを考えるよりもまず、
月々の返済に無理がない範囲で、できるだけ短く組むことが重要なのです。
銀行や営業担当者に勧められるがままに
いたずらに長く組まないよう慎重に検討したいものです。
今回からは「返済方法」について試算してみます。
この「返済方法」とは具体的には「元利均等返済」と「元金均等返済」
そして「毎月のみ返済」と「ボーナス併用返済」のことをいいます。
まず今回は「元利均等返済」と「元金均等返済」の比較をしてみましょう。
「元利均等返済」とは毎回の返済額(元金+利息)が一定である支払い方法であり、
「元金均等返済」は毎回の元金が一定である支払い方法です。
また「元金均等返済」は当初の返済額が最も高く、
金利が変わらなければ毎回少しずつ返済額が少なくなっていきます。
返済開始からしばらくは「元利均等返済」よりも毎回の返済額が高いのですが、
返済期間中の総支払い利息は「元利均等返済」よりも安くすむため、
基本的には「元金均等返済」の方が借り手には有利となります。
最近はこの違いに対する認知度が上がっており、よく相談もお受けするのですが、
その違いが金額にするとどの程度になるのかはあまり知られていないようです。
では早速、借入金額が1,000万円、金利は全期間固定金利で2.5%の場合の
初回の返済額および総支払い利息の違いについて
返済期間を変えて試算してみることにします。
◎初回の返済額
借入期間 20年 25年 30年 35年
元利均等返済 52,990円 44,861円 39,512円 35,749円
元金均等返済 62,499円 54,166円 48,611円 44,642円
差額 9,509円 9,305円 9,099円 8,893円
◎総支払い利息
借入期間 20年 25年 30年 35年
元利均等返済 2,717,669円 3,458,502円 4,224,352円 5,014,799円
元金均等返済 2,510,416円 3,135,416円 3,760,416円 4,385,416円
差額 207,253円 323,086円 463,936円 629,383円
以上のように「元利均等返済」と「元金均等返済」の初回の返済額の差は
借入期間が長いほど小さくなるのに対し、総支払い利息の差は大きくなりますので、
長期間の借入を検討される方ほど
「元利均等返済」と「元金均等返済」の選択は要検討ということです。
また金利が高いほど初回返済額や総支払利息の差も大きくなります。
現在は長期間の金利を固定するほど金利は高い傾向にありますので、
借入期間中の家計収支を予測し、
もし今後は家計の余裕が少なくなってくるという場合には
「元金均等返済」の方が合っている可能性が高いということです。
ぜひ具体的な試算をして検討してみてください。
前回、「元利均等返済」と「元金均等返済」の比較をし、
後者の方が総支払い利息が少なくなり、
また残債の減少も早いことから、借入期間が長い方は特に、
「元金均等返済」を検討すべきとの結論に至りました。
しかし比較的早期にまとまった金額での繰上返済や
頻繁に繰上返済する予定がある場合は、
必ずしも「元金均等返済」が有利とは限りません。
今回は「元利均等返済」、「元金均等返済」と
繰上返済の関係について試算してみたいと思います。
まずは以下の試算結果をご覧ください。
*前提条件 借入額:3,000万円 金利:2.5% 借入期間:35年
◎元利均等返済の場合
・5年後に300万円を繰上返済(期間短縮型)
短縮された期間・・・4年7ヶ月 減少する利息額・・・2,978,775円
・10年後に300万円を繰上返済(期間短縮型)
短縮された期間・・・4年1ヶ月 減少する利息額・・・2,311,807円
◎元金均等返済の場合
・5年後に300万円を繰上返済(期間短縮型)
短縮された期間・・・3年5ヶ月 減少する利息額・・・2,115,444円
・10年後に300万円を繰上返済(期間短縮型)
短縮された期間・・・3年5ヶ月 減少する利息額・・・1,740,473円
「元利均等返済」は返済開始当初は利息の支払いが多く、元金が減りにくいのですが、
逆に繰上返済の効果は高いのです。
なぜなら繰上返済される分は全額元金に充当されるからです。
また「元利均等返済」、「元金均等返済」ともに繰上返済を行なうのが
早ければ早いほど利息軽減効果が高くなりますが、
「元利均等返済」は期間短縮効果も高いことがわかります。
よって、早期に多額の、あるいは頻繁に繰上返済をする予定のある方は
「元利均等返済」の場合が有利になる場合があるということです。
例えば上記の条件下で3年後に1,000万円の繰上返済をすると・・・
◎元利均等返済の場合 短縮される期間・・・14年4ヶ月
(当初の総支払い利息:15,044,397円)-(繰上返済で減少する利息:8,470,094円
=(最終的な総支払い利息:6,574,303円)
◎元金均等返済の場合 短縮される期間・・・11年7ヶ月
(当初の総支払い利息:13,156,249円)-(繰上返済で減少する利息:6,531,047円
=(最終的な総支払い利息:6,625,202円)
総支払い利息は逆転して「元利均等返済」の方が少なくなり、
また返済期間も2年9ヶ月短くなります。
以上のことから、数年後に定期預金や保険の満期金など
まとまった収入の予定がある方や
タイミングが悪く今は解約できない投資金がある、
買換えで自宅の売却を入居後に予定している場合などは
ぜひこのような試算のうえでどちらが有利か検討してみるとよいでしょう。
ちなみに以下のサイトで繰上返済のシミュレーションができます。
知るぽると:https://www.saveinfo.or.jp/tool/sikin/menu/s_kuriage.html
今回は「ボーナス併用返済」について試算してみます。
ボーナスは業績の影響を受けやすく金額が安定しないため、
年々「ボーナス併用返済」を利用する方が少なくなってきているように感じます。
しかし、購入検討者によくお話をうかがってみると、
「最低でも月額給与の2ヶ月は出ます。」とか、
「うちの会社はボーナスが年3回あります。」とか、
安定的にボーナスの支給がある方は少なくない一方で、
そのボーナスの使いみちについてははっきりしていない場合がほとんどです。
そして住宅ローンを利用するにあたって、
ボーナスを繰上返済の原資と考える方も多いようです。
もちろん金額が安定しにくいボーナスですから、
支給額に合わせて繰上返済していく方が安心かもしれませんが、
今一度、過去数年のボーナスの支給額やその使いみちを確認し、
場合によっては「ボーナス併用返済」を活用してみてはいかがでしょうか?
それでは「ボーナス併用返済」の効果について、
毎月払いのみの場合と、
ボーナス1回あたり約10万円の返済を併用した場合とを試算してみます。
*前提条件 借入額:3,000万円 金利:全期間固定2.5% 元利均等返済
ⅰ借入期間:35年・・・毎月払いのみ:107,248円/月
ボーナス併用: 90,625円/月
ボーナス払い分の借入額:465万円
ⅱ借入期間:30年・・・毎月払いのみ:118,536円/月
ボーナス併用:101,941円/月
ボーナス払い分の借入額:420万円
ⅲ借入期間:25年・・・毎月払いのみ:134,585円/月
ボーナス併用:117,986円/月
ボーナス払い分の借入額:370万円
ⅳ借入期間:20年・・・毎月払いのみ:158,970円/月
ボーナス併用:142,384円/月
ボーナス払い分の借入額:313万円
以上のように、ボーナス1回あたり約10万円の返済を併用すれば、
借入期間が異なっても月々の返済額は概ね16,500円~16,600円減額でき、
もし月々の返済額を変えなければ、ボーナス払いの借入額分、借入額が増やせたり、
または借入期間を短縮できるということです。
ボーナスは何に使ったかわからないままなくなってしまうという方や、
ボーナスの大半は普通預金口座に入れたままという方は、
ぜひ無理のない範囲でボーナス併用払いにして、
効率的にローン返済を進めていくことを検討してみてはいかがでしょうか?
それでもし返済途中でボーナスの支給がなくなるなど状況が変化しても
「ボーナス併用返済」を「毎月払いのみ」に変更することができます。
合わせて生命保険等の保険料を年払いにし、
『フラット35』利用時の団体信用生命保険の特約料や固定資産税、都市計画税、
自動車保険や自動車税などの元々年払いの支払い額を明確にしたうえで
ボーナスから支払うよう、家計収支を正確に把握するようにしましょう。
今回はいよいよ「住宅ローン試算」では定番の“金利”について取り上げます。
“金利”といえばやはり永遠のテーマは「固定か変動か」でしょう。
住宅ローンの金利を選ぶ際、教科書通りなら、金利上昇局面においては固定金利、
金利下降局面においては変動金利を選ぶべきとされています。
では現在のような金利が超長期で低迷している局面では
どちらを選択すべきでしょうか?
答えは借入期間中の金利が今後どう推移するかを予測し、
上昇が見込まれるなら固定金利、
下降か現状維持が見込まれるなら変動金利ということですが、
未知の将来のことであり、かつ長期の借り入れをする方は、
今後20年や30年を予測しなくてはならないため、非常に難しい判断だと思います。
それでは今後の金利の推移によって総支払い利息がどのように変化するのか、
いくつか試算してみましょう。
*前提条件 借入額:3,000万円 借入期間:30年 元利均等返済 ボーナス併用なし
A.全期間固定金利(2.2%)・・・返済月額:113,910円 総支払い利息:11,007,690円
B.変動金利(0.975%)→借入期間中、金利変動なしの場合
・・・返済月額: 96,147円 総支払い利息:4,613,185円
C.変動金利(0.975%)→10年ごとに1%ずつ金利が上昇した場合
・・・返済月額:96,147円→11年目以降105,771円→21年目以降111,000円
総支払い利息:7,550,265円
D.変動金利(0.975%)→5年ごとに1%ずつ金利が上昇し、
11年目以降の金利が以後続いた場合
・・・返済月額:96,147円→6年目以降108,147円→11年目以降118,572円
総支払い利息:10,714,883円
E.変動金利(0.975%)→5年ごとに1%ずつ金利が上昇し続けた場合
・・・返済月額:96,147円→6年目以降108,147円→11年目以降118,572円→
16年目以降127,009円→21年目以降133,059円→26年目以降136,314円
総支払い利息:13,154,880円
全期間固定金利を2.2%としましたが、
これは今月のフラット35の比較的低い水準の金利を採用しました。
試算Bや今後もさらに金利が下がり続ける可能性は低いと思いますが、
試算CからEのように、今後金利が上昇していくとすると、その金利上昇が緩やか、
もしくは借入期間中の最高金利が3%程度までで推移した場合は
概ね変動金利の方が有利といえそうです。
一方、試算Eのように今後ずっと上昇を続け、
最終的に金利が5%を超えることになるとしたなら
固定金利が有利ということになるわけです。
金利はこの試算のように定期的に上がることは考えにくいのですが、
金利の上昇に伴いどの程度返済月額が上がり、
総支払い利息が増えていくのかをイメージしておくことが重要だと思います。
また、今後どのように金利が推移すると予測したとしても、変動金利を選ぶ場合は、
万が一の金利急上昇への対処を考えておくべきでしょう。
具体的には繰上返済で残債を圧縮したり、
上昇した返済額分をどこから捻出するか、などということですが、
いずれにしても借入期間中の家計の推移も合わせて予測すべきでしょう。
前回のブログで行った試算をご覧になった方は、
金利が5年ごとに1%ずつ上がり続けない限り
変動金利が有利ではないか、と思われたことでしょう。
またここ十数年、変動金利がほとんど変動しなかったことを鑑み、
やはり変動金利を選ぶべき、と判断されたことと思います。
住宅ローンの金利選択にあたっては、
長きに渡る金利の推移をある程度予測しなくてはならないのですが、
なにせ最近十数年の金利の推移がほとんど変動せずに低金利を続けているため、
今後もしばらくこの状態が続くことを、
ある意味願いもこめて予測している方も多いことと思います。
今後の金利推移がどうなると予測し、
その予測に基づいてどう選択することも自由ですが、
金利が急上昇した際のことを想定せずに、
あるいは対処方法を考えずに変動金利を選択するのは危険です。
まず多くの金融機関が採用している変動金利の仕組みが
どうなっているのかをきちんと理解しましょう。
それは「5年ごと返済額見直し方式」といわれるもので、
元利均等返済の場合、返済額は5年ごとに見直しとなります。
ただし、金利は半年に1回見直しとなりますので、5年の間に金利が上がれば
返済額は一定でも返済額に占める利息の割合が増加し、
その分元金の支払いが減ることになります。
しかも5年ごとの返済額見直し時に、いかに金利が上昇していても、
それまでの返済額の1.25倍までしか上げられないという制約があり、
さらに利息の支払いが優先されるため、もし今後、金利が急上昇することがあれば
返済額のほとんどが利息の支払いにまわり、
元金が減りにくくなることになります。
最悪の場合、返済額の全額をもってしても利息の支払い額に満たず、
未払い利息が発生することになるのです。
そうなると返済しても元金は減るどころか増え、
当初の借入期間で完済しないことにもなりかねません。
今回はこの「5年ごと返済額見直し方式」の変動金利について、
金利が上昇した場合の試算をしてみます。
*前提条件 借入額:3,000万円 借入期間:30年 元利均等返済 ボーナス併用なし
変動金利(0.975%)で借入
→当初5年間の月々の返済額:96,147円
(第1回返済額の内訳・・・元金:71,772円 利息:24,375円)
◎3年後に適用金利が3%に急上昇した場合
→37回目の返済額:96,147円(返済額の内訳・・・元金:27,885円 利息:68,262円)
◎3年後に適用金利が4%に急上昇した場合
→37回目の返済額:96,147円(返済額の内訳・・・元金: 5,130円 利息:91,017円)
◎3年後に適用金利が4.5%に急上昇した場合
→37回目の返済額:96,147円(返済額の内訳・・・元金:0円 未払い利息:6,247円)
◎2年後に適用金利が4.5%に急上昇した場合
→25回目の返済額:96,147円(返済額の内訳・・・元金:0円 未払い利息:7,910円)
借入額が大きいほど、借入期間が長いほど、そして金利の上昇時期が早いほど、
金利が急上昇した場合の返済額に占める元金の支払い割合は少なくなります。
かつて変動金利はわずか1年半のうちに3%以上、上昇したことがありますので、
金利上昇の可能性をあまく見ずに返済計画を立てる必要があります。
それを知る意味でも必ず数パターンの償還表を作成し、
リスクをきちんと把握しましょう。
今回もまた、はりきって住宅ローン試算をしましょう。
今回は住宅ローンの利用にあたって必要な諸費用についてです。
住宅ローンの諸費用とは具体的に「保証料」、「事務手数料」、「印紙税」、
「抵当権設定費用」などをいいます。
他にも『フラット35』や財形住宅融資といった
住宅金融支援機構の融資については「団体信用生命保険の特約料」が必要となり、
また、一部の金融機関では固定金利を選択した場合に
「固定金利手数料」が必要となります。
「固定金利手数料」は定額制で1万円程度ですが、
「事務手数料」は定額制の場合と
借入額に一定の比率をかけて求める定率制の場合とがあり、
「印紙税」や「抵当権設定費用」は借入額によって異なります。
「保証料」は借入時に一括で支払う方法と金利に上乗せして支払う方法とがあり、
借入額が多いほど、借入期間が長いほど費用が高くなります。
「団体信用生命保険の特約料」(以後「団信特約料」という)は
借入額と借入期間、金利によって総額が異なります。
以上のように費用のかかり方が異なるため、
「保証料」は必要だが「団信特約料」が金利に含まれる銀行ローンと、
「保証料」は不要だが「団信特約料」が別途必要となる『フラット35』と
どちらが有利か、また『フラット35』を利用する際には、
金利が高めだが「事務手数料」が安い金融機関(A)が有利なのか、
金利は低めだが「事務手数料」が高い金融機関(B)が有利なのか、
といったことが問題となります。
ではこの件について、総支払い利息額が確定する
全期間固定金利(今月の実際の適用金利)で試算してみましょう。
*前提条件 借入額:3,000万円 元利均等返済 ボーナス併用なし
全期間固定金利
◎借入期間20年の場合
(某都市銀行の金利:2.25% 『フラット35』の金利:A:2.11% B:1.89%)
・某都市銀行:(総利息)7,282,196円+(保証料)445,020円+(手数料)31,500円=7,758,716円
・『フラット35』A:(総利息)6,799,873円+(団信特約料)1,173,900円+(手数料)31,500円 =8,005,273円
・『フラット35』B:(総利息)6,049,702円+(団信特約料)1,166,600円+(手数料)409,500円 =7,625,802円
・『フラット35S』B:(総利息)5,301,004円+(団信特約料)1,157,900円
+(手数料)409,500円=6,868,404円
◎借入期間35年の場合
(某都市銀行の金利:2.4% 『フラット35』の金利:A:2.4% B:2.18%)
・某都市銀行:(総利息)14,371,886円+(保証料)618,330円+(手数料)31,500円
=15,021,716円
・『フラット35』A:(総利息)14,371,886円+(団信特約料2,176,000円+(手数料)31,500円 =16,579,386円
・『フラット35』B:(総利息)12,912,452円+(団信特約料)2,153,200円
+(手数料)409,500円=15,475,152円
・『フラット35S』B:(総利息)11,991,823円+(団信特約料)2,134,900円
+(手数料)409,500円=14,536,223円
本来、総支払い利息は諸費用には含みませんが、
団信特約料が金利の影響を受けるうえ、
『フラット35』の取り扱い金融機関の選択においては
金利と事務手数料の関係があるため、利息も含めました。
以上の結果の比較については次回、解説します。
今回は前回のブログで行なった試算についての解説をします。
まず、借入額が同じでも返済期間や選んだローンによって、
ここまで利息や諸費用の金額が異なることや
そもそも金額の大きさにも驚いたのではないでしょうか?
35年返済の場合、いくら超低金利時代とはいえ
借りた金額の1.5倍の支払いをしなくてはなりません。
また総額が最も多くなるパターンと最も少なくなるパターンの金額差は
1,000万円近くにもなります。
借入期間が20年と35年では
いずれも『フラット35S』がもっとも有利ということになりましたが、
例えば中古住宅等で『フラット35S』が使えない物件の場合には、
事務手数料が高くても
利の低い『フラット35』Bが有利だということがわかります。
ただし上記の試算では「保証料」と「事務手数料」は
借入時に一括で支払う必要がありますが、
総利息と「団信特約料」は借入期間中にわたって分割で支払うため、
購入時の自己資金が少ない方は総支払い額が多くなっても
諸費用の安い方を選ばざるを得ないこともあると思います。
また、借入期間によっては
『フラット35』Bよりも銀行ローンの方が有利になることがあります。
これは『フラット35』の事務手数料が定率制の場合には
借入期間に関係なく一定の金額となるのに対し、
銀行ローンの金利や「保証料」は借入期間が短いほど安くなるためです。
さらに借入期間中の繰上返済の頻度や金額によっては、
総支払額が逆転する場合もあります。
それは定率制の「事務手数料」は購入時に一括で支払うと
以後返金されることがないのに対し、
繰上返済により「保証料」の一部は返金される可能性があり、
総利息と「団信特約料」は大きく減るからです。
なお、『フラット35』の繰上返済は1回につき
100万円以上でないとできませんが、
銀行ローンの場合は少額でも可能ですので、
繰上返済の頻度や金額の予定など、
今後の返し方をよく考えてみることが重要です。
以上のことから住宅ローンは借入金額をできるだけ少なく、
また借入期間をできるだけ短く組むことが鉄則です。
当初の10年間は住宅ローン控除があるからといって
多額の金額を長く組むことはナンセンスです。
年末のローン残高が100万円多くても
1年分のローン控除額は1万円増えるだけですが、
100万円分借入額を減らせば、元利均等35年返済、
『フラット35S』Bで組んだとすれば
総利息だけでも約40万円も減らせます。
またよく
「家賃はいくら払っても自分のものにならず、お金を捨てているようなもの」
とおっしゃる方がいらっしゃいますが、
こうしたローンの利息や諸費用に加えて管理費、修繕積立金、
固定資産税、都市計画税、場合によっては駐車場使用料なども
家賃と同じようなものではないでしょうか?
そして“自分のもの”となる住宅は、
バブル崩壊後の地価下落の状況下にあっては
年々価値が下がっていくわけですから、
これからの住宅購入は長期的視点で家計の推移を予測し、
慎重にじっくり、そしてさまざまな試算を行って
検討していただきたいと思います。
Life & Home Solusion 代表 西澤 京子