
このたび誠に勝手ながら夏休みをいただき、首都圏を飛び出し、
世界文化遺産の白川郷に行ってまいりました。
当日はあいにくの雨だったのですが、
雨にかすむ山々や街並みが独特の雰囲気をかもし出していて、
まるでおとぎ話の世界に迷い込んだような感じがしました。
そして期待の『合掌造り』は実に見事で、美しく、また驚きの連続でもありました。

まず、理屈抜きにその美しさには惚れ惚れします。
三角屋根の角度は、ほぼ60度といわれ、正三角形に近いとのこと。
さらに窓には一様に障子戸がはめられていて、アクセントになっています。
夜にはこの障子戸から灯りがもれ、美しい夜景を作りだします。
しかもこの『合掌造り』、外観を優先してこうなったわけではなく、
この地の風土に合った、実に合理的な造りなのです。
正三角形の屋根の角度は、豪雪地帯ゆえに屋根に積もる雪の重さに耐えられるため、
また屋根を支える梁には、雪の重みで根元が曲がって育った
丈夫な木材が使われています。(曲梁:下の写真)
屋根を支える柱は強風や地震の際、屋根にかかる力を分散させるため、
先端を駒の軸先のように細く削り、梁に乗せただけの構造。(駒尻)
障子窓は採光を高めるため。冬は周辺の雪の反射光まで採り入れ明るいそうです。
そして日中ははずして風を通します。

さらに白川郷を見渡せる荻町城址展望台から眺めると(上の写真)、
合掌造りの住宅が全てほぼ同じ方向を向いて建てられているのがわかります。
それは、この地域は川が南北に流れ、その川を伝って吹く強い北風を屋根に当てず、
かつ風通しをよくするため、建物の両脇に開いた障子窓を南北に向くように
建てられたからとのこと。
こうすると茅葺屋根は東西を向くことになり、毎日均等に屋根に日光があたり、
屋根の乾燥を助けるとのことです。
その上、風通しや日光を妨げないよう、家々の屋根の高さが少しずつ異なっています。
他にもさまざまな工夫がなされており、非常に驚かされました。
これぞまさに“機能美”!
江戸時代後期に建てられた住宅なのに、耐震性能を有し、
かつ優れた採光性と通風性、断熱性を併せ持つ高機能住宅。
しかもその姿は凛としていて、なんともいえない安定感を漂わせています。
現在のマンションと比較して唯一劣っているのは、耐火性能くらいでしょう。
雨にも関わらず、外国人も含めて多くの観光客が訪れていましたが、
環境に調和した住宅の良きお手本だと思いますので、
ぜひ火の元に注意して、永く保存され、人々に多くを伝えていって欲しいと願います。
Life & Home Solusion 代表 西澤 京子