
ここ数年、モデルルームにおける集客イベントのひとつである『FP相談会』が
保険会社に所属するFPに占拠されています。
以前は“独立系FP”、つまりどこの会社にも属さず、
完全に第三者の立場をとるFPが相談にあたっていることがほとんどでした。
保険会社に所属するFPは保険の募集の一環としてFP業務を行なっていますので、
モデルルームでの『FP相談会』を無償で引き受けます。
しかも相談は1回では終わらず、提案書等を渡す目的で再度の来場を促すので、
売り手側にとっても顧客が最来場してくれるため、メリットがあります。
ところが、私のところに相談にいらっしゃる方の中でこうした『FP相談会』で相談され、
その場で予算設定や購入の“お墨付き”をもらったというケースを検証すると、
その提案内容に疑問を感じることが多く見受けられます。
そもそも『FP相談会』で相談したのに、
再度相談料を支払って同じFPの私のところに相談にいらっしゃるわけですから、
よほどの疑問や不安を感じたからこそとは思いますが、
それにしてもこのような事態、やはり問題なのではないかと思います。
しかも最も危惧するのは、“保険の見直し”についてです。
住宅購入の不安を解消するために『FP相談会』に参加し、そこで保険の見直しを勧められる。
そして勧められるがままに既存の保険の解約、及び新規加入を行なう。
保険会社に所属するFPが相談にあたるのですから、ある意味当然のことなのでしょう。
しかしそれは時に相談者の住宅購入を支援する内容になっていなかったり、
また新たな保険の加入が家計への負担になっている場合も多々見受けられます。
以前実際あったケースですが、保険会社のFPにより全面的に保険の見直しを勧められ、
加入した保険において、専業主婦の奥様の死亡保障がご主人の倍以上もあったケースがありました。
これは明らかに奥様の保障が過剰であると言わざるを得ません。
このような例を見ると、全てがそうではないとしても、保険会社のFPは所詮、自らの利益を優先し、
住宅購入の相談の場にふさわしいFP業務を行なっていないのではないかと思ってしまいます。
ただ、それをせめることは私の本心ではありません。
むしろ相談をする人の側が、相談にあたる人の立場を理解し、
その相談内容を見極める必要があるのだと思います。よってそれは“無料相談のツケ”なのです。
つまり相談者の立場で有益なアドバイスを無償で行なうことはまれだと考えるべきだと思うのです。
例外として、日本FP協会がFPの認知度を高めるために無償でFP相談を行なうとか、
市区町村が住民サービスの一環で、無償で各種法律相談にのるなどという場合はありますが、
これらは第三者の立場で相談が受けられることこそが目的となっております。
ですから利害関係の伴う場で、無償で行なわれることには注意が必要だということなのです。
マンションのモデルルームで、FPが場合によっては「あなたは買うべきではない!」と言える、
そんな環境を用意してくれるデベロッパーがございましたらぜひ私にお声がけいただきたいと存じます。
それが実現しないうちは、
モデルルームの『FP相談会』は保険会社のFPが担うことになるでしょう。
そしてその『FP相談会』に参加する側も、基本的にはマンション購入を勧められること、
さらに保険の見直しと銘打って保険の新規加入を勧められることをも覚悟し、
それを注意深く検討しなくてはならないことを肝に銘じるべきです。
そのうえで、無料相談なのだから仕方ないとするのか、
有料でも第三者に相談するのか、よく考えてみてください。
Life & Home Solusion 代表 西澤 京子