
今回のブログのテーマ、実は『完済が65歳を超える借入期間』にしようか、少し迷いました。
しかし、これは今回のテーマとほぼイコールの関係となることが多いため、
前々回のテーマ「変動金利の利用予定者」、前回のテーマ「4,000万円以上の借入」の
両者にも共通することもあり、あえて“繰上返済”にクローズアップしてみたいと思います。
「長い借入期間」・「多額の借入金額」・「変動の可能性の高い低金利ローン」、
多くの人はそのリスクを認識していながらも、気に入った物件を購入するために、
“繰上返済”を切り札としてそのリスクの中へ飛び込んでいます。
もちろん、返済の途中で余裕資金ができたなら、
できるだけ早く“繰上返済”をするに越したことはありません。
しかし、その“繰上返済”の効果に注目しすぎるあまり、
返済開始当初から定期的に貯蓄してまで繰上返済の原資を用意するという人が多くいらっしゃるなど、
少々勘違いも生じているようです。
“繰上返済”とは、「思っていた以上に貯蓄ができた」とか、
「ボーナスがたくさん出た」といったような余裕資金ができた時に、
ある程度まとまった金額をローン返済資金に充てるものであり、
毎月ないしボーナス時に決まった金額を積み立てて行なうものではないと思います。
なぜなら、もしそれができるなら、最初から返済に組み込みんだ方が得だからです。
それを証明する試算を示しましょう。
例えば3,000万円を35年返済、全期間固定の3%で借り入れるとすると、
ボーナス返済無の場合、月々の支払は115,456円、35年間の総返済額は約4,849万円となります。
もし月々の支払を変えずに、ボーナス返済を1回あたり約10万円追加すると
月々の支払が115,351円、ボーナス時加算が100,781円で返済期間は28年返済に短縮できます。
つまり7年の短縮となります。またこの場合の28年間の総返済額は約4,440万円となり、
35年返済に比べて約409万円も利息を軽減できます。
ちなみに、35年返済のボーナス加算無で、ボーナスのたびに10万円ずつ貯蓄し、
5年ごとに約100万円ずつ繰上返済したとすると、35年間の返済期間中、5回繰上返済でき、
その結果短縮された期間は6年と2ヶ月、軽減された利息は約350万円となります。
よって、同じ金額をボーナス返済として組み込む場合とそれを繰上返済に充当した場合とでは、
ボーナス返済として返済に組み込んだ方がお得であるということがわかります。
それなのに、「定年退職までに完済するとなると、月々の支払がかなり苦しいから、
とりあえず35年返済としておいて、後で“繰上返済”して期間短縮しよう」、というように
当面の支払い額を抑えるための“言い訳”として
“繰上返済”に過剰な期待をよせている場合には注意が必要です。
私は、この言い訳が通用するのは、例えば定期預金や保険などの満期が数年後にあるとか、
退職金などのような、ある程度まとまった資金が入る予定がはっきりしている場合だけだと思います。
ただし、退職金は本来、老後の生活資金となるものですので、
その大半をローン完済に充当するのはそれはそれで問題ですが。
まとまった一時的収入の見込みもなく、ただ目先の返済額を安くするだけのために、
また身の丈を超えた借入をするために、“繰上返済”を頼りにしているのは
単にリスクの先延ばしでしかない場合がほとんどです。
月々、もしくはボーナスで無理なく支払える上限額を正確に見極め、60歳完済で組むローンが
あなたにとっての最適な借入金額と借入年数であるはずです。
理屈のうえでは理解していても、どうしても自分に甘くなってしまう方は、ぜひご相談にお越しください。
Life & Home Solusion 代表 西澤 京子