
“要注意な購入検討者”の2回目は、
モデルルームを訪れてから概ね2週間程度以内で申込、契約をしてしまう購入者についてです。
現在のように不動産不況で、かつ3月の決算前には非常に多発するパターンですが、
これはとても危険な行為です。
モデルケースは以下のような感じです。
きっかけはさまざま。人によっては希望条件に合っているからと、また人によっては“とりあえず”と
モデルルームを訪れます。そして営業担当者は熱心にセールスします。
特に建物建築中の物件はきれいに飾りたてたモデルルームを中心に、メリットばかりを並べます。
順路に従ってひととおり物件を説明し、商談のテーブルにつき、
お決まりの「変動金利」で資金計算をすると、最後に営業担当者がこう言います。
「決算前なので、普段より多額の値引きができます。このお部屋なら○○万円引きます。
ただし今週末までに申込、契約をしていただくことが条件となります。」
もしくは、「このお部屋は人気があり、このタイプは残すところこのお部屋だけなのですが、
他にご検討者がいらっしゃいます。先着順ですので、なるべくお早めにご決断ください。」
購入検討者は内心、「どうせセールストークでしょ」と思いつつも、
「せっかくなら安く買いたい」、「気に入ったお部屋がぐずぐずしている間になくなってしまうかも・・・」
と少々あせります。すると不思議なことにその物件を肯定するような言い訳をたくさん思いつきます。
「駅にも近いし、日当たりもよい、ちょっと狭いけどそれでもこの値段で買えるのは今しかないかも・・・」
「低金利だし、買うなら今がチャンスかも。家賃を払い続けるのも無駄だし・・・」
ここで「決めちゃえ!」という自分と「もう少し慎重に!」という自分が戦い、
後者が優勢となった方の一部が私などのところへ相談にいらっしゃいます。
しかし前者が優勢、もしくは圧勝してしまった方は、たった一回のモデルルーム見学で
あっさり数千万円の物件の購入を決めてしまうのです。
完成済み物件ならまだしも、実物を確認せずに、しかも購入する部屋とは違うタイプのモデルルームを
一回や二回見ただけで購入を決めてしまうのは、危険すぎます。
なぜなら不動産購入には隠れたデメリットや注意点が数多く存在するからです。
また、住宅ローンの試算を営業担当者の提案にまかせっきりではリスクが高すぎます。
なぜなら営業担当者は購入者のその後の家計など知ったこっちゃないからです。
不動産や住宅ローンは、はっきり申しあげて一般の方には難易度が高すぎると思います。
ただいたずらに時間をかけて検討すればよいというものではありませんが、
少なくとも同じエリア、沿線で4~5物件は比較検討すべきですし、
天気や時間帯を変えて何度か建設現地に行ってみたり、重要事項説明書を事前に読んでおくなど
最低限の物件の理解は深める努力が必要です。
また住宅ローンについても変動金利のみならず、必ず全期間固定金利で計算してみるべきです。
そして実は契約後にも転機が訪れます。
契約から引渡しまで、建物が完成していない物件なら数ヶ月~2年ほど、
即入居可能物件でも、住宅ローンを利用して購入するなら最短でも1ヶ月ほどありますので
その間に購入してよかったのか、また購入価額は妥当だったのかを考えることになります。
また住宅ローン利用者は正式にどのローンを利用するのか決定しなくてはなりませんので、
改めて住宅ローンに向き合うことになります。
そこでまた多少なりとも不安や迷いが生じた方が、私のところへ相談にいらっしゃるわけですが、
このタイミングでご相談にいらしても、残念ながら選択肢は限られます。
特に購入した後で予算オーバーに気付いた時などは、大幅な家計見直しをするか、
「契約解除」という大きな損失を伴う決断をするかの過酷な二者択一となる場合もあります。
営業力の無い営業担当者ほど結論を急がせます。
また充分な検討をさせると選んでもらえないような物件の担当者は時間的猶予を与えません。
それでもどうしてもその物件が気になって仕方がないのなら、
物件の売買契約を締結する前に専門家に相談しましょう。
相談料など、住宅購入失敗の損失に比べたら微々たるものです。
Life & Home Solusion 代表 西澤 京子